明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ジャック・ゴールド『恐怖の魔力/メドゥーサ・タッチ』

ジャック・ゴールド『恐怖の魔力/メドゥーサ・タッチ』(The Medusa Touch, 78) ★★ サイコキネシス(作中では「テレキネシス」という言葉が使われている)をテーマにしたオカルト・ミステリー。日本では未公開だが、カルト的な人気があり、allcinema では 9.…

ジョン・H・オウア『眠りなき街』——都市の声、機械人形の涙

ジョン・H・オウア『眠りなき街』(City That Never Sleeps, 53) ★★½ これまでも折にふれてフィルム・ノワールの変種をいろいろ紹介してきたが、この作品もまたフィルム・ノワール史上まれに見る風変わりな作品のひとつと言ってもいいかもしれない。 * * * …

新作DVD――ジャン・ルノワール『十字路の夜』、エレム・クリモフ『炎628』ほか

DVD

ウィリアム・A・ウェルマン『飢ゆるアメリカ』 [DVD] ウェルマンには数々の傑作があるが、30年代のいわゆる「プレ・コード」時代に撮られた作品群は格別だ。なかでもこの『飢ゆるアメリカ』は、第一次大戦の終結から、大恐慌、そしてニューディール政策へ…

クリスチャン=ジャック『聖アジール学園消失事件』――戦争の不安を背景にしたミステリアスな子供映画の傑作

「フランス映画の墓堀人」と呼ばれた批評家時代のフランソワ・トリュフォーが「フランス映画のある種の傾向」と題された記事のなかでドラノワやオータン=ララといった巨匠たちを痛烈に批判し、結果的に、彼らを半ば葬り去ってしまったことはよく知られてい…

スティーヴ・エリクソン『ゼロヴィル』――映画は世界の始まりから存在している

"I believe that cinema was here from the beginning of the world."Josef von Sternberg Everybody say, "Is he all right?" And everybody say, "What's he like?" Everybody say, "He sure look funny." That's...Montgomery Clift, honey!The Crash "Th…

アンドレ・ド・トス『おとし穴』――郊外のフィルム・ノワール

アンドレ・ド・トス『おとし穴』(Pitfall, 48) ★★½ ディック・パウエル演じる保険会社の調査員ジョンが、会社の金を横領したかどで逮捕された男の愛人モナ(リザベス・スコット)の住む家を訪ねる。男が女に貢いだ品物のリストを作って、損失の一部を回収す…

ポール・ヘンリード『誰が私を殺したか?』

ポール・ヘンリード『誰が私を殺したか?』(Dead Ringer, 64) ★½ 俳優として有名なポール・ヘンリードが監督したサスペンス映画。原題はクローネンバーグの『戦慄の絆』を思い出させるがまったく関係はない。『何がジェーンに起ったか?』と『ふるえて眠れ』…

セルジュ・ダネーによるサミュエル・フラー論「物語への狂熱」

全体の4分の一程度の抄訳。ま、いつもの適当訳です(といいつつ、一応ちゃんと訳したつもり)。気が向いたら続きも訳します。 「物語への狂熱」(Fureur du recit*1)セルジュ・ダネー ゼロの観客フラーの作品が50年代のフランスの批評家の一部にかくも気に…