フランスでまた若者の暴動が起きている模様。
最近、アンドレ・ド・トスの『無法の拳銃』を見て感動したのだが、それで調べているうちに、ド・トスがヘンリー・キングの『拳銃王』の原作を書いていたことを知った。
『拳銃王』はわたしが大好きなウエスタンのひとつだ。早撃ちで有名なゆえに、絶えずだれかに命をねらわれつづけるガンマンの孤独を描いた、とてもユニークな西部劇で、主演のグレゴリー・ペックとしても最高傑作の一本に数えられる作品だろう。ド・トスはやっぱり侮れない。
「映画史のミッシング・リンク」を探るのがわたしの使命だ。いまのところだれからも共感を得られていないが、アンドレ・ド・トスについて調べてみた。いろいろ興味深い新発見があった。以下、簡単にド・トスの略歴を記す。
●アンドレ・ド・トス André De Toth (本名 Toth Endre )
マイケル・カーティスなどと同様のハンガリー系アメリカ人。脚本家・監督としてデビューするが、戦争とともに祖国を去り、イギリスに渡る。そこでアレクサンダー・コルダの『ジャングル・ブック』のセカンドユニットの監督を務めるなどしたあと、渡米。渡米する前に、ジュリアン・デュヴィヴィエの『リディアと四人の恋人』の脚本にも協力している。マール・オベロン作品が多いのは、コルダとの関係からだろう。
代表作:
『黒い河』(44)、『おとし穴』(48)、『スプリングフィールド銃』(52) 、『平原の落雷』(53)、『肉の蝋人形』(53)、『土曜日正午に襲え』(54) 、『赤い砦』(55)、『無法の拳銃』(59)Internet Movie Database によると、唯一、俳優として出演した作品が、トビー・フーパーの『スポンティニアス・コンバッション』なのがおもしろい。
タランティーノの『レザボアドッグス』(92)は、ド・トスに捧げられている(記憶にないが)。なんだかんだいっても、タランティーノはやっぱりセンスがいい。
2002年、カリフォルニアにて死去。
『ザ・ウェスタン・ムービーズ Vol.3』(上)に『叛逆の用心棒』が収録されている。