明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

映画史のミッシング・リンクを探る(2)〜アンドレ・ド・トス覚書〜


フランスでまた若者の暴動が起きている模様。


最近、アンドレ・ド・トスの『無法の拳銃』を見て感動したのだが、それで調べているうちに、ド・トスがヘンリー・キングの『拳銃王』の原作を書いていたことを知った。

『拳銃王』はわたしが大好きなウエスタンのひとつだ。早撃ちで有名なゆえに、絶えずだれかに命をねらわれつづけるガンマンの孤独を描いた、とてもユニークな西部劇で、主演のグレゴリー・ペックとしても最高傑作の一本に数えられる作品だろう。ド・トスはやっぱり侮れない。

拳銃王


「映画史のミッシング・リンク」を探るのがわたしの使命だ。いまのところだれからも共感を得られていないが、アンドレ・ド・トスについて調べてみた。いろいろ興味深い新発見があった。以下、簡単にド・トスの略歴を記す。


アンドレ・ド・トス André De Toth (本名 Toth Endre )

マイケル・カーティスなどと同様のハンガリーアメリカ人。脚本家・監督としてデビューするが、戦争とともに祖国を去り、イギリスに渡る。そこでアレクサンダー・コルダの『ジャングル・ブック』のセカンドユニットの監督を務めるなどしたあと、渡米。渡米する前に、ジュリアン・デュヴィヴィエの『リディアと四人の恋人』の脚本にも協力している。マール・オベロン作品が多いのは、コルダとの関係からだろう。


代表作:
『黒い河』(44)、『おとし穴』(48)、『スプリングフィールド銃』(52) 、『平原の落雷』(53)、『肉の蝋人形』(53)、『土曜日正午に襲え』(54) 、『赤い砦』(55)、『無法の拳銃』(59)

Internet Movie Database によると、唯一、俳優として出演した作品が、トビー・フーパーの『スポンティニアス・コンバッション』なのがおもしろい。

タランティーノの『レザボアドッグス』(92)は、ド・トスに捧げられている(記憶にないが)。なんだかんだいっても、タランティーノはやっぱりセンスがいい。


2002年、カリフォルニアにて死去。




『ザ・ウェスタン・ムービーズ Vol.3』(上)に『叛逆の用心棒』が収録されている。