2017-01-01から1年間の記事一覧
マイケル・カーティズ『無法者の群』(Dodge City, 39) ★★ ワーナーでウォルシュと肩を並べていた冒険映画のヴェテラン、マイケル・カーティズは、エロール・フリンとコンビを組んで数々の冒険映画・海賊映画を作っている。これは、その分野ですでに成功して…
セシル・B・デミル『大平原』(Union Pacific, 39) ★★ 大陸を横断する鉄道ユニオン・パシフィックとセントラル・パシフィックの建設を背景に、金儲けのためにそれを妨害する一味(一味のボスを演じるブライアン・ドンレヴィは、この年、4本の西部劇で同様の…
神戸映画資料館での『駅馬車』講座の日がだんだん近づいてきたので、6月は西部劇を中心に書くことにする(ただのメモに近いものだが)。 ジョージ・マーシャル『砂塵』(Destry Rides Again, 39) ★★½ 『掠奪の町』や『縄張り』などのコミカルな西部劇を得意と…
アルトゥール・ロビソン『戦く影』(Schatten - Eine nächtliche Halluzination, 23) ★★★ 「『今宵かぎりは』のダニエル・シュミットがこの映画のリメイクを撮ってくれないものかと思う。シュミットなら必ずやこの作品をより豊かなものにし、再発見させてくれ…
ロバート・フラハティ『極北のナヌーク(極北の怪異)』 [Blu-ray] 、『極北のナヌーク(極北の怪異)HDマスター』[DVD] ルーベン・マムーリアン『恋の凱歌』 [DVD] どちらかと言うと馬鹿馬鹿しいメロドラマだが、絶頂期のディートリッヒの美しさを見ることがで…
"His people come to life simply and believably; more believably than most of the people in the Chabrol and Truffaut cinema... the film has a thematic and formal beauty that is remarkable." - Jonas Mekas"[…] the most exciting new filmmaker …
チャールズ・ブラービン『街の野獣』 (The Beast of the City, 32) ★★ 正直、あまり期待していなかったのだが、予想もしていなかった展開と、何よりもラストの銃撃戦の凄まじい暴力性に圧倒された。厳密に言うならば、この戦前に撮られた警察映画はフィルム…
アンリ・ドコワン『家の中の見知らぬもの』★★ 『十字路の夜』、『パニック』、そしてこのドコワンの『家の中の見知らぬもの』と『La vérité sur Bébé Donge』……。そのうち、「ジョルジュ・シムノンとフランス映画」という本が書かれねばならないだろう。この…
オーソン・ウェルズの『市民ケーン』でケーンが自分のために建て、最後に、そのなかで孤独に死んでゆく城の名前「ザナドゥ」が、イギリスの詩人サミュエル・テイラー・コウルリッジによって書かれた叙事詩「クブラ・カーン」Kubla Khan のなかに登場する土地…
ジョゼフ・フォン・スタンバーグ『アメリカの悲劇』 [DVD] 『陽のあたる場所』と同じセオドア・ドライサーの小説をスタンバーグが映画化。エイゼンシュテインが最初映画化する予定だったが、シナリオが受け入れられず降板した。 ヴィンセント・ミネリ『いそ…
【4月8日】 《神戸映画資料館 連続講座「20世紀傑作映画 再(発)見」第1回、「『市民ケーン』とは何だったのか」》 サム・ウッド『恋愛手帖』 "snowglobe" と呼ばれる雪の降るガラス玉は19世紀にはすでにヨーロッパで知られていた。それがアメリカに伝わっ…
【4月8日】 《神戸映画資料館 連続講座「20世紀傑作映画 再(発)見」第1回、「『市民ケーン』とは何だったのか」》 ヘンリー・C・ポッター『ヘルザポッピン』(41) "It's a picture about a picture Hellzapoppin." 映画のなかの登場人物が映写技師に向かっ…
【4月8日】 《神戸映画資料館 連続講座「20世紀傑作映画 再(発)見」第1回、「『市民ケーン』とは何だったのか」》 89年にアメリカのFOXテレビで放送開始されるアニメ「ザ・シンプソンズ」でも『市民ケーン』は何度もパロディにされてきた。シュルツの漫画に…
4月8日 神戸映画資料館 連続講座「20世紀傑作映画 再(発)見」第1回、「『市民ケーン』とは何だったのか」 1984年9月2日スヌーピーが Pawpet Theater で『市民ケーン』のパロディ(?)『市民ビーグル』を演じる。すべてを手に入れた男が、すべてを失う。失…
4月8日 神戸映画資料館 連続講座「20世紀傑作映画 再(発)見」第1回、「『市民ケーン』とは何だったのか」 1972年10月29日73年12月9日のエピソード同様に、このエピソードでも、70年代はじめには『市民ケーン』は普通にテレビで見られるようになっていたこと…
神戸映画資料館でやることになっている連続講座「20世紀傑作映画 再(発)見」第1回、「『市民ケーン』とは何だったのか」の期日が迫ってきたので、正直、ブログを更新している余裕が全然なくなってきた。というわけで、宣伝も兼ねて、当日に話す内容とはあん…
ジョン・フォード『四人の復讐』 [DVD] ジョゼフ・フォン・スタンバーグ『アメリカの悲劇』 [DVD] フリッツ・ラング『真人間』 [DVD] オーソン・ウェルズ『オーソン・ウェルズのフェイク』 [DVD] 『ヒッチコック/トリュフォー』 [DVD] 『ミッドナイト・スペ…
1939年、ブニュエルは、妻と息子を連れて、内乱のスペインからハリウッドに向かう。スペイン内乱を描く映画の監修を依頼されたからだった。しかし、いざ仕事に取り掛かろうとした矢先に、ワシントンから指令が届く。全米製作者協会も、アメリカ政府も、共和…
ジョン・フォード『駅馬車 HDリマスター』[Blu-ray] アーネスト・シュードサック『ドクター・サイクロプス』 [DVD] ラルフ・ネルソン『不時着』 [DVD] サム・ペキンパー『荒野のガンマン HDリマスター版』[Blu-ray] ジョージ・シドニー『バイ・バイ・バーデ…
アンドレイ・ウジカ『ニコラエ・チャウシェスクの自伝』 (Autobiografia lui Nicolae Ceausescu, 2010) ★★★ 「民衆とは、まず画面の切り取り方なのだ。カメラが切り取る長方形の画面がある、そしてこの画面のなかに、沢山の人々がいる。それで十分だ。[…]そ…
ダグラス・トランブル『ブレインストーム』(83) ★★ 「いつの日か、映画を作る必要さえなくなるだろう。観客は頭部に電極を埋め込まれ、こっちでどれかのボタンを押すだけで、「おお」とか「ああ」とか言って、驚いたり笑ったりしてくれるようになるんだ。す…
アレクサンドル・メドヴェトキン『新モスクワ』(Novaya Moskva, 1938) ★★★ 『幸福』で知られるロシアの映画監督アレクサンドル・メドヴェトキンのトーキー時代の代表作の一つ。モスクワの都市再建計画が進行中に撮られたこのシュールなコメディは、スターリ…
リチャード・クワイン『殺人者はバッヂをつけていた』 [DVD]キム・ノヴァク主演のフィルム・ノワールの傑作。この作品については、ちゃんと紹介したことはなかったが、これまでたびたび触れてきた。昨年末に、知らない間に日本でもソフト化されていたらしい…
ラリー・コーエン『ディーモン/悪魔の受精卵』(God Told Me To, 76 未)★★½ 有名でないわけでは決してない。才能にも恵まれている。しかしなぜかどうにも影が薄い。そういう映画作家がいる。ラリー・コーエンもそんな監督の一人だ。『God Told Me To』は、…
明けましておめでとうございます(今年になって、この言葉を初めて口にした、というか書いた)。今年も、昨年同様、のんびりとやってゆきます。 G・W・パプスト『財宝』(Der Schatz, 23) ★★パプストのデビュー作であり、彼の最初にして最後の真に表現主義…