いつの間にか今年もあと一ヶ月になってしまった。年末になってもいろんなことがあるね。
ドイツはメルケル首相の就任のごたごたで揺れてるし、イランでは急進派の新大統領が「イスラエルは地上から消えるべきだ」などといったりして国際社会で物議を醸している。フランスの暴動騒ぎはようやく収まったみたいだが、移民問題はいまだに確固たる解決策を見出していない。韓国では厳戒態勢で入学試験が行われたのにもかかわらず、禁止されていた携帯電話を会場に持ち込んで次の年の受験資格までも取り消されたものが多数いたという。みんな何やってんだか。
イスラエルでは右派のシャロンがリクードを離党して新党を結成し、そこに左派の一部が流れるという思ってもいなかった事態になってる。シャロンというのはどうしようもない右翼というイメージだったのだけれど、最近どうもやることがわからない。国民の支持を受けているようだが、本当に和平のほうに動き始めてるんだろうか。ガザからの撤退はうまくいったが、その一方でヨルダン側ではでっかい壁を作っているわけだし。この壁が壊されるまでにまた何十年もかかってしまうんだろうか。ガザといえば、『ガザ回廊』というドキュメンタリー映画があるんだけれど、正式公開されていないので見ている人はまああまりいないだろう。これを見るまでにも、もちろんガザという地名は知っていたし、そこが政治学的にどういった役割を演じている場所なのかもだいたいわかってはいた。しかし、ガザという場所がどういう場所なのか、この映画を見てはじめてわかったように思う。
長さ45キロ・幅8キロメートルの「ガザ回廊」と呼ばれる区域のなかから出ることを許されず、そこだけを通ることを許された長い海岸線を、重い荷物を抱えたパレスチナの人々が黙々と歩く姿をとらえたその映像を見たとき、テレビの報道などで何度伝え聞いても理解できなかったことが一瞬でわかった気がした。ここは監獄に他ならないのだ。これが映画の力というものだろうか。
イスラエルの入植者がそこから撤退したことはとりあえず喜ばしいことだ。しかし、それは監獄がただ広くなっただけのことだったのかもしれない。