同じサンフランシスコの坂道を、マックィーンがトップギアで車(ダッジチャージャーっていうの?)を疾走させる『ブリット』よりも、ジェームズ・スチュワートがゆっくりと車を走行させる『めまい』のほうが、どれほどサスペンスフルで官能的な魅力にあふれていることか、って話。
とはいえ、あの乾いたエンジンオンにもそれなりの魅力があることもたしか。オープニングのタイトルの出し方はいま見てもかっこいい。
大した映画ではないが、最後の最後にとびっきりの笑顔を見せるロッド・スタイガーはやっぱりいい。気のせいか、こういう映画に出てくる町を牛耳る大物は、たいてい屋敷の温室で花を育てている。それとも、『大いなる眠り』のリメイクを何本も見ているせいでそう思うだけだろうか。
2005年10月19日
口内炎がつらい。
ハリウッドから香港へ帰っての第一作。独創的なアクション・シーンはなかなかクオリティが高い。とくに、ウー・バイのアパートでのロープを使ったアクション。非常階段をロープにつり下がって回転しながら降りていったり、ベランダの並ぶ建物の側面を縦横に移動しながらの撃ち合いなど、あまり見たことのないアクションが見られる。この場面の最後の爆発で大量の鳩を焼死させているのは、ジョン・ウーを意識してのことか。アンソニー・ウォンやホウ・シャオシェンの映画でおなじみのジャック・カオなど、脇役の顔ぶれもいい。最後の部分で、敵のひとりが赤ん坊を投げるのはひょっとしてジョン・ヒューストンをまねたのだろうか。
それほど好きでもない監督だが、そのなかではこれは一番いいほうにはいる。