明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

プラネットで満映娘に会う


京都のみなみ会館成瀬巳喜男の『杏っ子』と『夜の流れ』を見に行く。

みている途中で携帯に着信があったので後で確認してみると、PLANET studyo plus one の富岡氏からの電話だった。自宅のパソコンが壊れたのですぐにきてくれという。来てくれといわれても、そう簡単にいける距離ではない。それに、聞けば、システムをインストールし直さなければならず、他にもいろいろソフトも入れなければならないらしい。

となると、いったん滋賀の実家までいろいろ道具を取りに帰ってから、また大阪まで出直すことになる。これは非常に面倒くさい。たまたま翌々日に大阪に出る用事があったので、それではだめかと訊くと、明日の「サミュエル・フラー映画祭」用のチラシを今日中に作ってしまわなければならないから、だめだという。結局、家まで戻ってから、梅田まで出てくることになってしまった。着いたときはもう夕方だったので、泊まり覚悟だ。

パソコンを修理するときは、ふつう緊急用の起動ディスクで立ち上げてから、いろいろ修理していくのだが、家から持ってきたどのCDでも立ち上がらないので閉口した。結局、このマシン専用のインストール・ディスクを使ってやっと起動することに成功。最初からこれを使っておけばよかったのだが、富岡氏はお世辞にも整理能力がある人ではない。このディスクもプラネットの映写室のほうにおいてあったのをやっと探し出したのだった。なんだかんだで真夜中過ぎまでかかってしまった。富岡氏が直ったパソコンで作業をするあいだワールドカップを見ながら、明け方ごろ眠りにつく。

とりあえずやることはやったので、翌日は、富岡氏宅でみんなが作業しているのを横目で見ながらボーッとして時間をつぶした。午後になって、4月に移転したばかりの新しいプラネットに出かける(そこで映画を見るのは今回が初めてだ。その感想はまた別のところで)。着く早々、プラネットの安井氏を訪ねてきた韓国女性の相手をさせられてしまう。彼女は満映のことを調べていて、あちこち資料を集めているらしく、プラネットにもそのことで寄ったらしい。あいにく安井氏はその日は留守で、おまけに彼はいまだに携帯電話を持っていないので、全然つかまらず、彼女は一日中待ちぼうけを食わされていたのだった。というわけで、安井氏と連絡が取れるまで、わたしが彼女の話を聞いてやるはめになったわけだ。彼女は日本語は話せず、わたしも韓国語は話せないので、英語で話すことになる。富岡氏が紹介し、わたしも自分で名前を名乗ったにもかかわらず、彼女はわたしのことを安井氏だと勘違いしてしまったらしく、最初話がかみ合わなかったりして、大変だった。

プラネットに関わっていると、こういうことは結構よくある。おかげで、英語でしゃべるのもそんなに怖くなくなった。英会話は全然上達していないのだが、外人に対する抵抗感はだいぶなくなった気がする。それでも、『満山紅柿』を撮った彭小蓮(小川紳介の弟子にあたる中国人女性監督)の通訳をさせられたときは、さすがに困った。ただでさえ技術的なことには詳しくないのに、IMAGICA でフィルムの焼き付けのタイミングについての細かい打ち合わせを英語で通訳するのだから、わたしなんかの英会話力ではにっちもさっちもいかない。大変な目にあったものだが、まあ今となってはいい思い出だ。

話がそれてしまった。

結局、フラーの『アリゾナの男爵』が始まる前に、安井氏と連絡が付き、わたしは安心して映画を見ることができた。めでたし、めでたし。ひさしぶりに見た『アリゾナの男爵』と『地獄への挑戦』については、機会があったらまた別のところで書くことにしよう。