『ウェスト・サイド物語』『サウンド・オブ・ミュージック』などで知られるロバート・ワイズ監督が14日、亡くなった。というか、まだ生きていたのかとちょっと驚いた。個人的には、物語の時間と映画の時間をシンクロさせて描いたボクシング映画(フィルム・ノワールといってもいい)の名作『罠』やSF『地球の静止する日』、黒沢清がホラー映画ベスト50の第9位に選んでいる『たたり』などが心に残っている。
RKOの編集者として出発し、オーソン・ウェルズの『市民ケーン』と『偉大なるアンバーソン』の編集などを担当したのち、ヴァル・リュートンの製作で『キャット・ピープルの呪い』を監督してデビューする。彼の代表作としては『ウェスト・サイド物語』『サウンド・オブ・ミュージック』が挙げられることが多いが、この二作がワイズの才能を十分に示しているかどうかは疑わしい。とりわけ、ミュージカル映画をある意味で終わらせてしまった『ウェスト・サイド物語』の功罪の罪の部分はもっと問われるべきだろう。この機会に『拳銃の報酬』をDVD化してほしい。