明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

ウィリアム・フリードキン『フレンチ・コネクション』

昔はどうでもよかったこういう映画も、いま見ると結構面白く見れてしまう。それだけいまのハリウッドの映画が面白くないということか。ジョン・フランケンハイマーの『フレンチ・コネクション2』は一作目に比べて冗長な仕上がりだったが、どちらも幕切れのあっけなさが心地よい。『フレンチ・コネクション』では、ポパイ(ジーン・ハックマン)が麻薬組織の取引現場を押さえ、一味を一網打尽にするが、ボスのフェルナンド・レイをあと一歩のところで取り逃がしてしまう。廃ビル(どうしてアクション映画のクライマックスはいつもいつもこういう場所を舞台にするのか)で同僚のデカを誤って射殺してしまったポパイが、そんなことにはお構いなしにフェルナンド・レイの跡を追いかけていくところで、映画は唐突に終わる。『フレンチ・コネクション2』では、船底に隠れてうまく逃げおおせたつもりのフェルナンド・レイが、もう大丈夫と思ってデッキに現れたところを、埠頭で待ち受けていたポパイが射殺する瞬間に映画は終わる。


この二つが特別だったわけではなく、かつてのハリウッド映画ではこういう幕切れのあっけなさはごく普通のことだった。それが変わりはじめるのは、いつからのことだったのか。