明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

新作DVD〜『シャロン砦』『何が彼女をそうさせたか』ほか

アレクサンダー・マッケンドリック『成功の甘き香り』


ブラック・コメディの傑作『マダムと泥棒』 などで知られるアレキサンダー・マッケンドリックが、独立プロの招きで渡米して撮った、ショービジネス界の内幕を暴くフィルム・ノワールの傑作。新聞のコラムニストが主役というのが新しい。ジェイムズ・ウォン・ホウによって夜間撮影されたニューヨークの街頭シーンが新鮮だ。脚色を担当しているのがあのクリフォード・オデッツというのも注目。実質1000円を切る廉価版で再登場。


ジョゼフ・H・ルイス『捨身の一撃』


ランドルフ・スコット DVD-BOX にはいっていたものが、ばら売りで登場。ルイスが最晩年に発表したわずか数本の西部劇はどれもすごい。ぜひともすべて DVD で出してほしい。


鈴木重吉『何が彼女をそうさせたか』


「傾向映画」として名高い作品。一度だけ見る機会があったが、そのときは見逃してしまった。DVD化はうれしい。しかし、あらすじだけ読んでいると、ものすごい話だね。


[第7回キネマ旬報ベスト・テン第1位に輝いた日本映画不朽の名作が遂にDVD化!極貧にあえぐ少女すみ子。伯父に引き取られるも意地悪にあい、その後、サーカス小屋、犯罪者の手先、小間使い…と流転し、どん底に落ちていく彼女が最後にたどり着いた場所とは…。]


ロジャー・コーマン『恐怖のロンドン塔』『血まみれギャング・ママ』


BOX は前から出ているが、ばら売りは今度がはじめてか。


アンソニー・マン『シャロン砦』


一年以上前に買った米版がまだ見ないままほったらかしにしてあるのに、日本版が出てしまった(まあ、前に見てる映画なんだけど)。こんなのまで来るとは思わなかったな。値段もお手頃。絶対買いです。


「つまり『西部の人』にあっては、発見すると同時に詳述することを基盤としているのだ。この点に関しては『駅馬車』のインディアン出現の際の有名なパノラミック撮影と、『シャロン砦』の中でヴィクター・マチュアとその道連れたちを取り巻くようにただ背の高い草の間からインディアンが姿を現す固定ショットを比較してみさえすればよい。フォードのカメラの動きは、その造形的でダイナミックな美しさの力を遺憾なく発揮していた。マンの画面は、いうなれば植物的な美しさそのものだった。その迫力は、あらかじめ熟慮されていた美学には何一つ負っていない点からまさしく生まれていたのだ。」

ジャン=リュック・ゴダール