ルイ・ルネ・デ・フォレ『おしゃべり,子供部屋』
少し前に再販されてました。これには正直、ちょっと驚きましたね。私が大学に入ったころには、この本はすでに絶版になっていて、その後一度も再版されたことはないと思います。図書館にはもちろん入ってました。でも、手元に置いておきたかったので、古本屋でずいぶん探しましたが、見つかりませんでした。今ごろ出すか、ってかんじですね。
しかし、今こんな本を出して売れるんでしょうか。
当時は、「ユリイカ」などで、ブランショ、バタイユなどの特集がたびたび組まれていたので、あのころ出せば多少は売れたかもしれませんが、それでもたいしたことはなかったでしょう。当時、この作家を研究対象にしようとした私の知り合いは、大学の指導教授に、もう少しメジャーな人を選んだらどうかと、やんわり拒絶されていました。たぶん、その教授もあまりよく知らない作家だったんでしょう。
旧版は白水社からでしたが、これは水声社からです。訳者は同じ清水徹(懐かしい)ですが、改訳されたものかどうかは不明。
変な本です。
私が紹介するのも何なので、水声社の紹介文を以下に引用します:
「《話す》という欲求に憑かれた男の物語(「おしゃべり」)、口をつぐんだ少年をめぐる奇妙なゲーム(「子供部屋」)。ことばの《在/不在》を問う《沈黙の作家》の珠玉の名作を、オリジナルな形で収録。
かつて書かれたもっとも奇怪でもっとも衝撃的な作品の一つ ――ジョルジュ・バタイユ」