明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

二つの半島


村上龍『半島を出よ』がやっと文庫になった。これで貧乏人のわたしにも手が届く。


「まさか村上龍で対談する日が来るとは思わなかった」と、松浦寿輝はこの本が出たとき回りくどいほめ方をしていた。一方、浅田彰は、「出来の悪いトム・クランシー」と評していた。さて、どちらが正しいのか。ともかく、村上龍は、新作が出たら読みたいと思わせる数少ない作家のひとりではある。ちなみに、松浦寿輝『半島』も最近文庫化した。この夏は、半島についてちょっと考えてみるか。

松浦の小説は、『巴』という一風変わったミステリーを昔読んだが、吉田健一の模倣のような文体で描かれるオヤジの少女幻想にちょっとげんなりして、それ以来避けている。しかし、あまりにも評判がいいので、評価を下すのはせめてもう一冊読んでからにしようと思う。