明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


このサイトはPC用に最適化されています。スマホでご覧の場合は、記事の末尾から下にメニューが表示されます。


---
神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

---

評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

2008-01-01から1年間の記事一覧

Giallo ってなんじゃろ?〜マリオ・バーヴァとアントニオ・マルゲリーティをめぐって

イタリアのホラー映画について書かれた文章などで、"Giallo" とか "Giallo movie" といった言葉をよく眼にすることがある。ホラー映画のサブジャンルらしきことはだいたい文脈から予想がついていたが、ちゃんと調べてみたことがなかった。"Giallo" とはいっ…

新作DVD 紹介〜『水没の前に』『魔女』『タブウ』『清水宏監督作品 第一集 ~山あいの風景~』などなど

DVD

ジャ・ジャンクー『長江哀歌』 リ・イーファン『水没の前に』 佐藤真らによって絶賛されたドキュメンタリー映画。『長江哀歌』にあやかってということでしょうか。ついでに、全然評判を呼ばなかったツァン・ミンの『沈む街』も DVD にしてほしですね(ビデオ…

ロブ=グリエの余白に

物欲というのは金のないときにかぎってむらむらと湧いてくるのか、最近ほしいものがいろいろあって困ってしまう。ソフトバンクの春モデルで発売されることになっている Nokia の x02nk は、ソフトバンクになってはじめて心からほしいと思ったモデルで、これ…

ルネ・アリオ『私、ピエール・リヴィエール』、アラン・タネール、フェルナン・ドリニーほか

DVD

René Allio, Moi pierre riviereルネ・アリオについては以前から何度か名前を出してるんだけど(調べてみたら、このブログでは 2005年にはじめて言及していた)、日本ではまだまだ無名に近い存在のようだ(Google のフレーズ検索では「ルネ・アリオ」は 428 …

クリフォード・シマック『都市』、ほか

三日つづけて鳥居みゆきを見てしまった。恐ろしいもので、何度も見ているうちにあれがだんだん面白くなってきて、いつの間にかつぼにはまってしまっている自分に気づく。最近テレビに出る機会が多いせいか、芸もなんとなく洗練されてきたし、R1 のネタもよく…

ウォルシュ、サーク、シーゲルほか

DVD

フランスの DVD はしばらくチェックしていなかったんですが、その間、結構いろいろ出ていました。面倒なので日本語タイトルは書いてません。とりあえず、アメリカ映画を中心に紹介しました。ヨーロッパ映画については、次回に回します。 ドン・シーゲル L'ho…

再びマイケル・カーティズとファスビンダーについて

先日、ファスビンダーがらみでマイケル・カーティズ(カーティスと書くほうが一般的。辞書で引くとどちらの発音も乗っているので、どちらとも決められない)の『春なき二万年』に少しふれたが、なんと東京フィルムセンターでこの映画が上映されるらしい(な…

マイケル・カーティス『四人の姉妹』ほか

マイケル・カーティス『四人の姉妹』ローズマリー、ローラ、プリシラのレイン三姉妹(本当は四姉妹だが、この映画では四女をゲイル・ペイジが演じている)が共演した『若草物語』ふうのメロドラマ。原作はファニー・ハースト。『模倣の人生』『ユーモレスク…

新作DVD〜『ペドロ・コスタDVD-BOX』『ストローブ=ユイレ コレクション アンティゴネー』ほか

DVD

このブログにふさわしい作品がなかなか出なかったので、しばらく日本の新作 DVD の紹介はしていませんでしたが、ひさしぶりにビッグなサプライズがありました。 『グラディーヴァ マラケシュの裸婦』 ずいぶん以前にここで書いたロブ=グリエの新作が DVD で…

映画についてわたしが知った二、三の事柄

ミッチェル・ライゼンとポロンスキー上島春彦の『レッドパージ・ハリウッド』をようやく4分の3あたりまで読み終える。評判は聞いていたのだが、あまのじゃくな性格なので、いままでわざと読まないでいた。たしかに、面白い。HUAC に抗した左翼脚本家たちを中…

ビリー・ワイルダーのあまり見られていない映画につての短い覚書

『地獄の英雄』(Ace in the Hole, 51) 落盤事故の取材を利用してもう一度第一線に躍り出ようとする野心家の新聞記者を描いて、ジャーナリズムのセンセーショナリズムを痛烈に批判した作品。問題を起こして地方の新聞局に勤めることになった辣腕記者(カー…

エレヴェーターの男 〜 マイケル・パウエル Contraband

マイケル・パウエル Contraband (40) マイケル・パウエルは30年代に数十本の作品を撮っているが、日本ではほとんど公開されていない。Contraband はパウエルがプレスバーガーとはじめて組んだ『スパイ』(The Spy in Black, 38) の成功を受けて撮られたスパイ…

M・Cについて

年末から猫の様子が変だったのが、年が明けて二日ほどエサを食べなくなったので、あわてて病院に連れて行く。結局、便秘だったと判明。いまではすっかり元気になったが、かわりに今度はこっちが体調を崩してしまった。しばらくまともな文章を書ける状態では…

ロジャー・コーマン『侵入者』

DVD

今日のチェックリスト(私的メモです) Alexis Damianos William Castle, When Strangers Marry Gaston Kabore Cheikh Omar Sissoko Flora Gomes Abderrahmane Sissako, Bamako Mahamat Saleh Haroun, Darrat Victor Burgin ロジャー・コーマン The Intruder…

新作DVD 〜『ブルー・ガーディニア』『とらんぷ譚』ほか

DVD

こないだ紹介したばかりだけれど、ビッグなものがいくつか抜けていたので補足。 フリッツ・ラング『ブルー・ガーディニア』ラング作品としては少しパンチに欠けるところもあるが、傑作であることはたしか。 ライナー・ヴェルナー・ファスピンダー『ヴェロニ…

Charles Burnett, Killer of Sheep

DVD

チャールズ・バーネットは、アメリカがもつことの出来たもっとも才能豊かで、もっとも重要な黒人映画作家であるジョナサン・ローゼンバウム いや驚いた。知る人ぞ知る伝説の作品、チャールズ・バーネットの Killer of Sheep の DVD が出てしまった。というか…

デルモア・シュワルツ『夢の中で責任がはじまる』

Delmore Schwartz, In Dreams Begin Responsibilities and Other Stories とりあえず、表題作の "In Dreams Begin Responsibilities" を読む。自分の父と母が結婚する前(つまりは自分が生まれる前)のある日の光景を、語り手が、夢でも見るように映画館で見…