2006-01-01から1年間の記事一覧
ダニエル・ユイレが亡くなった。事情通の方はとっくにご存じのようだが、わたしはつい昨日知って、驚いた。毎週、「リベラシオン」と「ル・モンド」の Web サイトをチェックしているのに、気づかなかったとは。たしかに、「リベラシオン」の11日付の記事の見…
むかし福武文庫から出ていて、長いあいだ入手不能になっていた古井由吉の『山躁賦』が、いつの間にか講談社文芸文庫から出ていた。買い逃してずっと公開していた本のひとつだ。あいかわらず千円強という若干高めの値段設定。しかし、いやしくも文学を口にす…
ひさしぶりにフランスの Amazon で買い物をした。ジャン=ダニエル・ポレの『地中海』がDVD化されていることを知ったからだ。ゴダールの評論で眼にして以来、ずっと気になっていた監督だったが、いままで見る機会がなかった。日本ではほとんど話題になら…
『幽閉者』 監督:足立正生 出演:田口トモロヲ/PANTA/大久保鷹 内容:空港襲撃作戦のメンバーM。手榴弾の不発で1人だけMは自爆作戦に失敗し、この世界へと残された。捕らえられた彼を待っていたのは、悪夢のような水滴拷問。そして豚の飼育と呼ばれる人体実…
以前ふれたアンドリュー・サリスの『The American Cinema』では、ダグラス・サークは「The far side of paradise」という項目に分類されている。『天の許し給うすべて』(All That Heaven Allows)をみごとにリメイクしたトッド・ヘインズの『エデンより彼方…
正直いって、シャマランの新作はどうでもいいと思っていたのだが、中原昌也が例によって大げさな物言いで、2回見て2度とも号泣した、今度3回目を見に行くなどといっているのを眼にすると、こいつ信用できないなと思いつつ、やっぱり『レディ・イン・ザ・…
『ジム・ジャームッシュ/アーリー・コレクション DVD-BOX』 カリスマ監督ジム・ジャームッシュの初期3作品「パーマネント・バケーション」「ストレンジャー・ザン・パラダイス」「ダウン・バイ・ロー」を収録した初回限定豪華4枚組DVD BOX。 デジパック、ピ…
夏休みのあいだ、結局、映画館では一本も映画を見なかった。ジャコメッティを見に行った美術館で上映されていた成瀬の『稲妻』を見たぐらいだ。これも見みないと、あれも見ないとという、むかしはもっていた強迫観念が最近はすっかりなくなってしまった。そ…
噂の若冲を京都国立近代美術館に見に行く。西洋絵画についてはかなり詳しい方だと思うのだが、正直いって、わたしには江戸絵画のことはまるでわからない。三隅研次の『大菩薩峠』などを見ながら、だれが描いたのか知らないがこのデコールに使われているカラ…
日活ロマンポルノの名匠として知られる田中登監督が4日に亡くなった模様。『実録阿部定』、『人妻暴行致死事件』、『(秘)女郎責め地獄』など、田中登の名作は数多いが、わたしにとっては田中登はなによりも『(秘)色情めす市場』のひとだった。
ジョン・フォード『モガンボ』11/3 ウィリアム・ウェルマン『ジョン・ウェイン 中共脱出 特別版』 上二つは1000円を切る廉価版で。 ジョン・フォード『捜索者 スペシャル・エディション』■『捜索者』製作50周年記念!約60分に及ぶDVD初収録の映像特典を収…
[シネマ・マイノリティ・レポート]:このカテゴリーでは、シネフィルにもあまり注目されないような隠れた名作を紹介する。海外のメディア、あるいは海外で出版される映画研究書などに目を通していると、海外での知名度と日本での知名度が極端にちがう作品が…
『アート・アニメーションの素晴らしき世界』という本のなかで筒井武文が面白いことを書いている。 いわゆる実写は、その意味では静止写真ではない。実写には一コマに「時間」が刻まれている。ふつうの映画は1秒24コマですね。しかし、コマが送られる時間…
第1章第3節の要約 >>[第3のテーゼ:運動と変化] 瞬間が運動の動かない切片であるというだけでなく、運動自体が持続の動く切片である、つまりは全体(le Tout)あるいはひとつの全体(un tout)の動く切片であるのである。このことは、運動はさらに深い…
第1章 「運動に関するテーゼ(第一のベルクソン注釈)」要約>>第一節「第1のテーゼ:運動と瞬間」ここでは、ベルクソンが運動に関して示した三つのテーゼが分析される。ちなみに、『シネマ』のなかでは、1、2巻あわせて合計四度、ベルクソンについての注…
『トリュフォーの映画術』という本が気がつくと出ていた。一瞬、山田宏一が訳している本が出たのかと思ったが、違った。山田宏一がたしかトリュフォーの書簡集を訳していると思うのだが、いつになったら出るんだろうか。聞くところによると、山田氏は、訳し…
■ヴォイチェス・ヤスニー『猫に裁かれる人々』一介の猫好きとしては異常に気になるタイトルですね。カンヌでも賞を取った名作らしい。■テイ・ガーネット『チャイナ・シー』ジーン・ハーロー、クラーク・ゲーブル主演のエキゾチックな作品。ジャン・テュラー…
『スキャナー・ダークリー』はどうやら『ウエイキング・ライフ』のようなアニメ調の映画になっているようだ。個人的にはちょっとがっかりな気がしないでもない。実写で見たかった。 さて、楽しみにしていた『マリー・アントワネット』がついに公開される。ポ…
財津理が、『ドゥルーズ 没後10年、入門のために』という本に、「シネマを訳しながら、心をよぎること」というエッセイを書いているのを発見した。してみると、『シネマ』は財津理が訳しているらしい。10年以上前には宇波彰(懐かしい名前だ)が訳していると…
ひさしぶりに書く、気がする。ブログ的倦怠期(?) ホームページのほうに「コメディ映画ベスト50」の70年代以後編をアップ。さらに手抜きをしてコメントは省略。ついでに、ジャン=ピエール・モッキーの『ソロ』(68)も追加して、とりあえず51本をリストア…
『鈴木清順監督 自薦DVD-BOX 壱』 「港の乾杯 勝利をわが手に」「8時間の恐怖」「素ッ裸の年令」「関東無宿」「東京流れ者」「殺しの烙印」の6作品を収録。 『鈴木清順監督 自薦DVD-BOX 弐』 監督自ら収録作品を選び、音声コメンタリーやインタビューで自作…
「コメディ映画ベスト50」戦後コメディ篇をアップ。かなり手抜き気味になってます。とりあえず、70年代以後の作品も早くリストアップして終わらせてしまいたい。 その関係で調べていて知ってしまったのだけれど、ゴダールの『右側に気をつけろ』のDVDは、信…
ロバート・シオドマクがアメリカからヨーロッパに帰って撮った晩年の作品『Nachts, wenn der Teufel Kan』(57)のDVDがフランスで7月に発売されている。仏題は『Les SS frappent la nuit』(SSは夜に撃つ)。実際にあった連続女性殺人事件をもとにシオドマ…
「Cahiers du cinéma」の HP がひさしぶりに更新をはじめた。長いあいだ全然更新していなかったような気がするのだが、別にレイアウトが変わった様子もない。なんだったんだろうか。 - 「リベラシオン」と「ル・モンド」では、ヴェネチア映画祭で上映される…
以前、『ヌーヴェル・ヴァーグ セレクション』としてセット販売されていた『パリところどころ』と『アデュー・フィリピーヌ』がハイヴィジョン・デジタルマスター版でばら売りになります。『パリところどころ』では、女がアパルトマンの一室からエレベータで…
成瀬巳喜男『稲妻』★★★☆ジャコメッティ展を見に行った兵庫県立美術館で成瀬の『稲妻』を見る。こんなところで映画の上映をしているとは知らなかった。もっとも、知っていても気軽にいける距離ではないが。入場料500円だったのでひょっとしてビデオ上映ではな…
『スキャナー・ダークリー』 監督:リチャード・リンクレイター 出演:キアヌ・リーブス/ウィノナ・ライダー 内容:未来のある時代、米国は麻薬で荒廃していた。覆面麻薬捜査官ボブに自らの友人を探る命令が下され、嫌々ながら捜査を始めることになる。それ…
トゥルニエの『魔王』に次のような一節があった。カルテンボルンの指揮官が、紋章用語では右を左、左を右というと説明したあとで、次のように語るところだ。 こういった転倒には、たぶんあとから思いついたのだろうが、実際的な説明がなされている。盾という…
グレン・フォードが30日死去した。90歳。死因は不明。実は、このニュースを最初に聞いたときは、まだ生きていたのかと驚いた。ついこないだ、グレン・フォード主演の『ポケット一杯の幸福』について書いたばかりである。先日、たまたまテレビで『スーパ…
粗野な言動となによりもその強さで人気の的だった若いボクサーが、微妙な判定をめぐって一転、メディアのバッシングの対象となる。その開いた穴を埋めるようにして、白いユニフォームに身を包んだ礼儀正しい高校生投手が、どう考えても過剰すぎる注目を浴び…