オーソン・ウェルズの『市民ケーン』でケーンが自分のために建て、最後に、そのなかで孤独に死んでゆく城の名前「ザナドゥ」が、イギリスの詩人サミュエル・テイラー・コウルリッジによって書かれた叙事詩「クブラ・カーン」Kubla Khan のなかに登場する土地…
ジョゼフ・フォン・スタンバーグ『アメリカの悲劇』 [DVD] 『陽のあたる場所』と同じセオドア・ドライサーの小説をスタンバーグが映画化。エイゼンシュテインが最初映画化する予定だったが、シナリオが受け入れられず降板した。 ヴィンセント・ミネリ『いそ…
【4月8日】 《神戸映画資料館 連続講座「20世紀傑作映画 再(発)見」第1回、「『市民ケーン』とは何だったのか」》 サム・ウッド『恋愛手帖』 "snowglobe" と呼ばれる雪の降るガラス玉は19世紀にはすでにヨーロッパで知られていた。それがアメリカに伝わっ…
【4月8日】 《神戸映画資料館 連続講座「20世紀傑作映画 再(発)見」第1回、「『市民ケーン』とは何だったのか」》 ヘンリー・C・ポッター『ヘルザポッピン』(41) "It's a picture about a picture Hellzapoppin." 映画のなかの登場人物が映写技師に向かっ…
【4月8日】 《神戸映画資料館 連続講座「20世紀傑作映画 再(発)見」第1回、「『市民ケーン』とは何だったのか」》 89年にアメリカのFOXテレビで放送開始されるアニメ「ザ・シンプソンズ」でも『市民ケーン』は何度もパロディにされてきた。シュルツの漫画に…
4月8日 神戸映画資料館 連続講座「20世紀傑作映画 再(発)見」第1回、「『市民ケーン』とは何だったのか」 1984年9月2日スヌーピーが Pawpet Theater で『市民ケーン』のパロディ(?)『市民ビーグル』を演じる。すべてを手に入れた男が、すべてを失う。失…
4月8日 神戸映画資料館 連続講座「20世紀傑作映画 再(発)見」第1回、「『市民ケーン』とは何だったのか」 1972年10月29日73年12月9日のエピソード同様に、このエピソードでも、70年代はじめには『市民ケーン』は普通にテレビで見られるようになっていたこと…
神戸映画資料館でやることになっている連続講座「20世紀傑作映画 再(発)見」第1回、「『市民ケーン』とは何だったのか」の期日が迫ってきたので、正直、ブログを更新している余裕が全然なくなってきた。というわけで、宣伝も兼ねて、当日に話す内容とはあん…
ジョン・フォード『四人の復讐』 [DVD] ジョゼフ・フォン・スタンバーグ『アメリカの悲劇』 [DVD] フリッツ・ラング『真人間』 [DVD] オーソン・ウェルズ『オーソン・ウェルズのフェイク』 [DVD] 『ヒッチコック/トリュフォー』 [DVD] 『ミッドナイト・スペ…
1939年、ブニュエルは、妻と息子を連れて、内乱のスペインからハリウッドに向かう。スペイン内乱を描く映画の監修を依頼されたからだった。しかし、いざ仕事に取り掛かろうとした矢先に、ワシントンから指令が届く。全米製作者協会も、アメリカ政府も、共和…
ジョン・フォード『駅馬車 HDリマスター』[Blu-ray] アーネスト・シュードサック『ドクター・サイクロプス』 [DVD] ラルフ・ネルソン『不時着』 [DVD] サム・ペキンパー『荒野のガンマン HDリマスター版』[Blu-ray] ジョージ・シドニー『バイ・バイ・バーデ…
アンドレイ・ウジカ『ニコラエ・チャウシェスクの自伝』 (Autobiografia lui Nicolae Ceausescu, 2010) ★★★ 「民衆とは、まず画面の切り取り方なのだ。カメラが切り取る長方形の画面がある、そしてこの画面のなかに、沢山の人々がいる。それで十分だ。[…]そ…
ダグラス・トランブル『ブレインストーム』(83) ★★ 「いつの日か、映画を作る必要さえなくなるだろう。観客は頭部に電極を埋め込まれ、こっちでどれかのボタンを押すだけで、「おお」とか「ああ」とか言って、驚いたり笑ったりしてくれるようになるんだ。す…
アレクサンドル・メドヴェトキン『新モスクワ』(Novaya Moskva, 1938) ★★★ 『幸福』で知られるロシアの映画監督アレクサンドル・メドヴェトキンのトーキー時代の代表作の一つ。モスクワの都市再建計画が進行中に撮られたこのシュールなコメディは、スターリ…
リチャード・クワイン『殺人者はバッヂをつけていた』 [DVD]キム・ノヴァク主演のフィルム・ノワールの傑作。この作品については、ちゃんと紹介したことはなかったが、これまでたびたび触れてきた。昨年末に、知らない間に日本でもソフト化されていたらしい…
ラリー・コーエン『ディーモン/悪魔の受精卵』(God Told Me To, 76 未)★★½ 有名でないわけでは決してない。才能にも恵まれている。しかしなぜかどうにも影が薄い。そういう映画作家がいる。ラリー・コーエンもそんな監督の一人だ。『God Told Me To』は、…
明けましておめでとうございます(今年になって、この言葉を初めて口にした、というか書いた)。今年も、昨年同様、のんびりとやってゆきます。 G・W・パプスト『財宝』(Der Schatz, 23) ★★パプストのデビュー作であり、彼の最初にして最後の真に表現主義…
ロバート・ワイズ『捕われの町』(The Captive City, 52, 未)★★ロバート・ワイズの最高傑作の一つという人もいるフィルム・ノワールの佳作。私自身はそれほどの感銘を受けなかったのだが、実に興味深い作品である。車でハイウェイを疾走していた主人公の新聞…
クレランス・ブラウン『世界の推理小説傑作映画 墓地への侵入者』 [DVD]、ロバート・シオドマク『世界の推理小説傑作映画 クリスマスの休暇』 [DVD] 「世界の推理小説傑作映画」などというパッケージにまとめられてしまったが、クレランス・ブラウンの『墓地…
テレンス・デイヴィス『Of Time and the City』(2008) ★★★ 「われわれは自分が憎んでいる場所を愛し、そして愛している場所を憎む。愛している場所を去り、そして人生を費やしてその場所を取り戻そうとする」冒頭、監督のテレンス・デイヴィス自身の声によっ…
エリック・ロメール『クロイツェル・ソナタ』(56) ★★ レフ・トルストイの原作を習作時代のロメールが映画化した短編。ロメールは監督・脚本のみならず、主演もつとめている。製作担当のゴダールが、ロメールの知人役で出演しているのも見逃せない。クレジッ…
べつに忙しかったわけではないのだが、なんだか何もやる気が起きず、すっかりブログの方もご無沙汰している。そろそろ更新しようと思う。しかし、長いものはかけそうにないので、まずは短い記事から。 ジョゼフ・ロージー『The Gypsy and the Gentleman』(58…
フランク・キャプラ『オペラハット 80周年アニバーサリー・エディション』 [Blu-ray] ウィリアム・ウェルマン『ロビン・フッドの復讐』 『ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム(デラックス10周年エディション)』 [Blu-ray] セシル・B・デミル『絶海…
シャフラム・モクリ『Fish & Cat』(Mahi va gorbeh, 2013) ★★½ 全編ワン・カットで撮られたイラン製ホラー映画(といっていいのだろうか?)。好奇心で見たのだが、意外と面白かった。 イランのレストランで人肉の料理を出していたコック数人が逮捕されると…
たかだか10本ほどしか見ていないのに断言するのもなんだが、やはりカメリーニの30年代作品は格別だ。それは、30年代に撮られた『Il cappello a tre punte』(35) とそのリメイクである『バストで勝負』(55) を見比べてみれば歴然としている。『Il cappe…
ラウル・ルイス『盗まれた絵の仮説』★★★½ ピエール・クロソウスキーの奇々怪々な小説『バフォメット』に基づいて、というよりは、この本に緩やかにインスパイアされて作られた映画で、ルイスの名を世に知らしめた初期の代表作である。ずいぶん久しぶりに見直…
バッド・ベティカー『決闘コマンチ砦』 [DVD]、『反撃の銃弾』 [DVD]「聡明なるバッド・ベティカーの西部劇の決闘シーンが与える呆気なさ。それはまさしく、映画が視線を映しえないという映画自身の限界が露呈された瞬間の戸惑いといったものだ。誰も、交錯…
ピーター・ゴッドフリー『第二の妻』(The Two Mrs. Carrolls, 47) ★★½ 『レベッカ』『ガス燈』『断崖』の系譜に連なるフィルム・ノワールの佳作。「妻を殺そうと企む夫」という物語はフィルム・ノワールではお馴染みのもので、他にも、『扉の陰の秘密』、『…
「コメディはまず滑稽でなくてはいけないが、それを一段高いものにするには、人間性が必要になってくる。だからコメディとして成功したものはすべて悲劇としても成功するし、その逆もまた真なのだ」(ジョージ・キューカー) ジョージ・キューカー『結婚種族…
アンソニー・マン『The Great Flamarion』(46) ★★ アンソニー・マンのフィルモグラフィーは、フィルム・ノワール時代、西部劇時代、スペクタクル活劇時代の大きく3つに分けられる。『The Great Flamarion』(未公開作品だが、「たそがれの恋」というノワール…