フセヴォロド・プドフキン『脳の機能』(Mekhanika golovnogo mozga, 1926) ★ 脳神経が動物の行動に及ぼす働きを描いた純然たる科学映画。カエルから始まって、犬、猿というふうに動物生体実験の様子が描かれてゆき、そこから得られた結論から、最後に、人間…
ジガ・ヴェルトフ『カメラを持った男』 マン・レイ『エマク・バキア』 ルイス・ブニュエル『アンダルシアの犬』 フェルナン・レジェ『バレエ・メカニック』 ジャン・コクトー『詩人の血』 ケネス・アンガー『我が悪魔の兄弟の呪文』 ポール・シャリッツ『T,O…
5月26日(土)、神戸映画資料館にて、下記の講座を行います。連続講座「20世紀傑映画再(発)見」第4回 『カメラを持った男』──機械の眼が見た〈真実〉 http://kobe-eiga.net/program/2018/05/3913/[『カメラを持った男』は字幕のない映画として知られていま…
セルゲイ・コマロフ『メアリー・ピックフォードの接吻』(Potseluy Meri Pikford, 1927) ★★ 「メアリー・ピックフォードの映画にふくまれる甘いプチ・ブルジョア的毒は、健全で進歩的な観客の中にさえ残っているプチ・ブルジョア的な傾向を意図的に刺激するこ…
イフゲニー・スラヴィンスキー『女教師とごろつき』(Baryshnya i khuligan, 1918) ★½ ロシア未来派の詩人ウラジミール・マヤコフスキーが脚本を書き、出演もしている短編映画。マヤコフスキーはたぶん演出にも関わったと思われる。1895年に出版されたイタリ…
5月26日の神戸映画資料館の連続講座:20世紀傑作映画再(発)見 第4回「『カメラを持った男』──機械の眼が見た〈真実〉」がそろそろ近づいてきたので、これから暫くの間はロシア・ソヴィエト映画強化週間になります。 ミハイル・カラトーゾフ『軍靴の中の釘』(…
ロバート・アルドリッチ 『ガン・ファイター(HDリマスター版)』 [DVD]、『ガン・ファイター 【ブルーレイ版】』 [Blu-ray] ロバート・パリッシュ『荒野のライフル』 blu-ray ドン・シーゲル『殺人者たち』 [Blu-ray] キャスリン・ビグロー『ニア・ダーク/月…
たまたま(?)ジャッロ映画を続けて見てしまったのでかんたんにメモしておく。 ルイジ・コッツィ『キラー・マスト・キル・アゲイン』 (L'assassino è costretto ad uccidere ancora, 75, 未) ★★妻を疎ましく思っている男(ジョルジオ)が、寂しい埠頭の電話…
Ján Rohác, Vladimír Svitácek『千のクラリネット』(Kdyby tisíc klarinetu, 65) ★½ 何やらどんくさそうな新兵が、野外で訓練中に上官に注意され、罰として遠くに見える一本木まで突撃を命じられる(彼はいつもこういう罰を命じられてばかりいるらしい)。し…
マルコ・フェッレーリ『白人女にさわるな!』(Touche pas à la femme blanche ! , 1974) ★★½ ジョージ・アームストロング・カスターは、イエス・キリストやヒトラーほどではないにしろ、映画史上もっとも神話的な人物の一人と言っていいだろう。サイレント時…
リヴェット:ちょっと回り道になりますが、おそらくここで、ダイレクトとモンタージュの関係の問題に立ち戻らねばなりません。というのも『世界の続きのために』のような作品は、ペローが(ルーシュと同様に)、素材(定義からして、映画の「企画」よりも過…
ジョン・ブラーム『ファティマの聖母の奇跡』 (The Miracle of Our Lady of Fatima, 52) ★½ 『劇場版 SPEC』の「結」だったか「天」だったか、いろいろあってよくわからないので忘れたが、とにかくシリーズの一つのなかでも言及されている、有名なファテ…
サミュエル・フラー『赤い矢』 [DVD] 『処刑軍団ザップ HDニューマスター版』 [DVD] 、『処刑軍団ザップ HDニューマスター・コレクターズ・エディション』 [Blu-ray] 『デ・パルマ』 [DVD]、『デ・パルマ』 [Blu-ray] 『ノクターナル・アニマルズ/夜の獣たち…
イングマール・ベルイマン『牢獄』(Fängelse, 49) ★★½ ベルイマンが初めてオリジナル脚本を映画化したという意味では、彼の最初のパーソナルな作品。映画の撮影が行われているスタジオの光景から映画ははじまる(これは、ベルイマンが映画のなかで映画をテー…
『アンジェラ・マオの女活殺拳』(Hapkido, 72) ★★½ アンジェラ・マオインが活躍する女ヒーロー物。ブルース・リーと共に武侠映画(カンフー映画、とは微妙に違うが、ややこしいのでとりあえず同じものとして扱う)がアメリカに初めて知られはじめた頃に作ら…
「カイエ・デュ・シネマ」210号に掲載された、エクス・アン・プロヴァンスで行われたモンタージュをめぐる有名な座談会を訳しはじめました。毎日少しづつ訳出していきます。例によって、たんなる気まぐれでやってます。ここにあえてアップしているのは、どこ…
前回に続き、マルコ・フェッレーリ作品についての覚書。 マルコ・フェッレーリ『人間の種子』(Il seme dell'uomo, 69) ★★½ 「人間の種子」。まさしくダーウィン的なタイトルだ。ただし、ここに描かれるのは「種の起源」ではなく、「種の終焉」である。時代は…
マルコ・フェッレーリ*1は見逃している作品がまだまだ多くて、全体像をつかみかねている。もう少し作品を見てからまた改めて書きたいと思うが、とりあえず、最近見た数作品について順に覚書を書いてゆく。 マルコ・フェッレーリ『猿女』 (La donnna scimmia,…
オルドリッチ・リプスキー『アデラ/ニック・カーター、プラハの対決』(Adéla jeste nevecerela, 78) ★★ 『カルパテ城の秘密』で知られるチェコの映画監督オルドリッチ・リプスキーが撮ったコミカルな探偵活劇、というかそのパロディ。ニューヨークのビルの…
ジョン・フォード『ギデオン』 [DVD]この間紹介したばかりのフォードの警察映画『ギデオン』が、タイミングよろしく日本でもソフト化された。残念ながら Blu-ray ではなく DVD だが。 ノーマン・パナマ『拳銃の罠』 [Blu-ray] あんまり覚えていないが、犯罪…
「ル・モンド」に掲載されたカトリーヌ・ドヌーブの(ものとされる)発言が話題になっている。#MeToo をきっかけに過剰になってゆくセクハラ告発に対して、女性の立場から異を唱えたものである。これに対しては、彼女の姿勢を称賛するものや、逆に、批判する…
チャン・チェ『残酷復讐拳』(Crippled Avengers, 1975) ★★★ 眼や腕など身体の一部を欠落させたものたちがヒーローとして活躍する物語なら、われわれは「座頭市」や「丹下左膳」などで慣れ親しんできた。自分の身体的欠損を、それを補って余りある力へと反転…
ナサニエル・ウエスト『いなごの日』 フィッツジェラルドやフォークナーなどと同様、ハリウッドで映画の脚本を書いていたこともある*1小説家、ナサニエル・ウエストがその頃の体験をもとに書き上げた代表作『いなごの日』。意外と読んでいなかったので、時間…
チェン・チャンホー『キング・ボクサー/大逆転』(King Boxer/Five fingers of Death, 1972) ★★½ タイトルだけ見るとボクシングの映画のように思えるが、ボクシングとはまったく関係ない。カンフー映画である。カンフー映画とふつう呼ばれているアクション映…
アントニオ・ピエトランジェリ『私は彼女をよく知っていた』(Io la conoscevo bene, 65) ★★½ 「50年代と60年代のイタリアのコメディ映画において、女は、母親か、妹か、娼婦として登場するのがふつうで、彼女たちは、さまざまな問題や不幸を抱えていたり、抑…
急に暇になったので、これからはブログをまめに更新していこうと思う。 チャン・チェ『少林拳対五遁忍術』★½ チャン・チェのショー・ブラザーズ時代後期の作品。カンフー映画ファンの間では評価が高いようなのだが、わたしはあまりノレなかった。ジミー・ウ…
フィルムアート社から今月末に発売される予定になっている『映画を撮った35の言葉たち』という本に参加させていただきました。完成した本はまだ見ていないのですが、映画監督たちが残した言葉から映画史を振り返ってゆく、ちょっとユニークな映画監督ガイド…
ジョン・フォード『赤毛布恋の渦巻き』(Riley the Cop, 1928) フォードはトーキー映画を初めて撮ったあともサイレント映画を何本か作り続けた。これは現存するフォード最後のサイレント映画である(このあとに撮られたフォードのサイレント映画は失われてし…
アンドレ・バザンがクリス・マルケルの初期ドキュメンタリー作品『シベリアからの手紙』(58) について書いた文章。フランス語の原文が手に入らなかったので、英語からの重訳である。 (今日は、とりあえず急いで訳しただけなので、細かいチェックは明日にな…
ガード・オズワルド『Crime of Passion』(57) ★★ リュック・ムレお気に入りの監督ガード・オズワルドによるフィルム・ノワール。新聞記者としてのキャリアをあっさり捨てて刑事と結婚した女は、郊外で主婦として暮らす日常に早くも死ぬほど退屈しはじめる。…