明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

2007-01-01から1年間の記事一覧

アンソニー・マン『シャロン砦』

日本版が出ることになった今頃になって、ずいぶん前に購入していながらそのままにしてあった北米版の『シャロン砦』DVD を取り出して、やっとナイロンパッケージを開封する。この DVD は、ふつうの日本製の DVDプレイヤーでは再生できないリージョン1のディ…

新作DVD〜『シャロン砦』『何が彼女をそうさせたか』ほか

DVD

アレクサンダー・マッケンドリック『成功の甘き香り』 ブラック・コメディの傑作『マダムと泥棒』 などで知られるアレキサンダー・マッケンドリックが、独立プロの招きで渡米して撮った、ショービジネス界の内幕を暴くフィルム・ノワールの傑作。新聞のコラ…

ウィリアム・キーリー『情無用の街』

『情無用の街』The Street with No Name ウィリアム・キーリーは日本ではほとんど忘れ去られた監督だといっていい。そもそも一度でも作家として評価されたことがあったのかどうかも疑問である。本国アメリカでもそれほど評価が高かったとは思えない。アンド…

室生犀星『蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ』

[この一冊]では、最近読んだとか、新刊が出て話題になっているとか関係なしに、みんなに読んでもらいたい本を紹介していく。調べてみたら、このカテゴリーは宮川淳の『鏡・空間・イマージュ』を紹介して以来使っていなかった。これからはもう少し積極的に書…

ヒッチコックがいない「ヒッチコック劇場」の愉しみ

TV

NHK BS で「ヒッチコック劇場」の放映がはじまったことは前に書いた。すでに十数話ほどが放映されている。最初は、1955年から1962年にかけて白黒で撮られた「ヒッチコック劇場」の数編が放映されていたが、いま放映されているのは、ヒッチコックの死後、80…

甦るバトジャック・プロ

『七人の無頼漢』の DVD のことを紹介したときに、ジョン・ウェインのバトジャック・プロによるこの作品がなぜパラマウントから DVD 化されて出るのか不思議だという意味のことをたしか書いたと思う。調べればすぐにわかることだったが、面倒くさいのでその…

石田民三『花火の街』

パソコンの前の椅子にネコが居座ってしまったので、しばらく更新できなかった。まあ、別に書くこともなかったのだが。 京都文化博物館に石田民三の『花火の街』を見に行ってきたので、だらだらと感想をつづっておく。 石田民三『花火の街』 1937年(昭和12年…

『ラベンダー・ヒル・モブ』ほか

DVD

『コロンビア・プレミアム 戦争映画コレクションBOX 18枚組』 [『アラビアのロレンス[2枚組]』『戦場にかける橋[2枚組]』『ナバロンの要塞』『将軍たちの夜』『サハラ戦車隊』ほか、コロンビア映画が誇る珠玉の戦争映画16タイトルを収録した18枚組BOX。全商…

戦争映画覚書

>>戦争映画をめぐるいくつかのテーマ 戦争映画のクリシェ サミュエル・フラーによる「戦争映画に関する六つの命令」 1. だれかが撃たれても、けっして戦闘をやめるべからず。ほかにどうすることができよう? 2. 死に瀕した GI が札入れをひっぱり出してフィ…

エドワード・ヤン、亡くなる

エドワード・ヤンが、6月29日、7年間煩っていた癌の合併症のため、ビバリー・ヒルズの自宅で69歳の生涯を終えた。癌だったとは初耳だし、アメリカに住んでいたことも知らなかった。『ヤンヤンの夏休み』以来7年ぶりとなる新作『The Wind』が、ジャッキー・チ…

『ブレヒトの映画・映画論』『ペドロ・コスタ 世界へのまなざし』ほか

リリアン・J・ブラウン「The Cat Who Came to Breakfast」を読みはじめる。シャム猫ココが鋭い勘で事件を解決してゆく人気ミステリー・シリーズの一冊だ。このシリーズに挑戦するのは初めてである。「猫の文学──猫本大全集」などというページを作って公開し…

新作 DVD 紹介〜『恋人たちの失われた革命』『アレクサンドル・ソクーロフ DVD-BOX2』ほか

DVD

暑いし、だるい。風邪をひいたのか、のどが痛い。今日は、DVD の新譜をちゃちゃっと紹介するだけにしておく。いずれも紀伊國屋書店より発売。 フィリップ・ガレル『恋人たちの失われた革命』 ジャック・クレイトン『回転』 黒沢清が「屈指の傑作」と評した作…

殺し方よりも、死体の見せ方のほうが冴えている〜マリオ・バーヴァ『血みどろの入江』

マリオ・バーヴァ『血みどろの入江』 この作品には、イタリアン・ホラーの例に漏れず、英語タイトルだけでも「A BAY OF BLOOD」、「TWITCH OF THE DEATH NERVE」、「LAST HOUSE ON THE LEFT, PART II」、「THE ECOLOGY OF THE CRIME」など、無数の別名がある…

野崎歓『われわれはみな外国人である──翻訳文学という日本文学』

大の映画好きでもあり、名翻訳家でもあるフランス文学者、野崎歓氏の集大成ともいえる分厚いエッセイ集『われわれはみな外国人である──翻訳文学という日本文学』が出ました。

新作映画公開情報〜『僕のピアノコンチェルト』ほか

『オフサイド・ガールズ』 監督:ジャファル・パナヒ 出演:シマ・モバラク・シャヒ/サファル・サマンダール 内容:イランでサッカーは、国民的スポーツといっていいほどの大人気。しかし、女性がスタジアムで男性のスポーツを観戦する事は法律で禁止されて…

『Target Earth』〜シュールで、チープで、あっけない侵略ものSF

シャーマン・A・ローズ『Target Earth』 50年代に撮られた宇宙人侵略もの。へなちょこぶりをバカにするつもりで見たが、意外と面白かった。 監督の名前は正直いって初耳だ。30年代から映画を撮っているベテランのようだが、50年代からはもっぱらTVドラマの演…

映画・戦争・都市について考えるためのプチ・ブックガイド

訳あって、戦争映画のことを調べている。まずは図書館で調べてみたのだが、役に立ちそうな日本語の文献はほとんどなかった。まあ、最初からわかっていたけれど。武器オタクが書いた本とか、「映画で読み解く現代史」とかいったたぐいの本ばかりで、戦争映画…

リチャード・アダムズ『ウォーターシップ・ダウンのウサギたち』

昨日のブログのなかで、リチャード・アダムズ著『ウォーターシップ・ダウンのウサギたち』のリンクが間違ってました。すいません。上の単行本と同じ評論社から文庫本も出ていますが、20年以上前に出版された本なので、いま現在、上下巻を新品でそろえるのは…

ジャック・ロンドンの小説〜『死の同心円』『殺人株式会社』

別に理由はないが、講談社英語文庫でジャック・ロンドンの『The Call of the Wild』を読み始める。近くの図書館に申し訳程度においてある洋書のなかで読みたいのはこれだけだったので、借りてきたのだ。やっぱり動物ものはいいねェ。平凡な人生を生きている…

クリストファー・ノーラン『プレステージ』

PRESTIGE: noun [U] the respect and admiration that sb/sth has because of their social position, or what they have doneOxford Advanced Learner's Dictionary 『監督・ばんざい!』はまだ怖くて見に行けてない。『TAKESHI'S』についづいて『監督・ば…

F. W. ムルナウ『ファントム』ほか

DVD

小沼勝『修道女ルナの告白』 日活ロマンポルノについては、小沼勝や曽根中生、こんなの撮ってたっけ? というのがどんどん DVD化されている。前々からいっているように、できれば TSUTAYA のアダルト・コーナーではない、ふつうのコーナーにおいて気軽にレン…

金井美恵子・金井久美子『楽しみと日々』、フェルナンド・ペソア『不安の書』など

最近しばらく大きな書店をじっくり見て回ることがなかった。昨日、Planet+1 でストローブ=ユイレの映画を見たついでに、旭屋と紀伊国屋をぶらりと歩いてきた。『あの彼らの出会い』にいたく感動したので、さっそくまだ読んでいなかったパヴェーゼの『故郷』…

大日本人だよ

バスに乗った松本に、キャメラの背後に隠れたインタビュアーが語りかける。インタビュアーの姿は、ときおりガラスに映りこむ場合をのぞいて、画面に現れることはない。シネマ・ヴェリテふうの擬似ドキュメンタリー。映画はまずはそんなふうにはじまる。出だ…

映画新刊本案内〜コリン・マッケイブ『ゴダール伝』

前から出るという話は聞いていた、コリン・マッケイブによるゴダールの伝記『ゴダール伝』が、いよいよ明日出版される(書店には、もう並んでいるのかもしれない)。わたしは基本的に芸術家の伝記のたぐいにはあまり興味がない人間である。トッド・マッカー…

『サラゴサ手稿』〜ブニュエルが愛した映画

このくくりで書くのはひさしぶりだ。今回紹介するのは、ポーランド映画『サラゴサ手稿』(『サラゴサの写本』)(65)。まさにカルト中のカルト映画である。『砂時計』で知られるヴォイチェフ・ハス監督が、18世紀ポーランドの作家ヤン・ポトツキの手になる…

片面2層DVD を初めて試してみた

DVD

片面2層DVD に対応したパソコン用 DVDドライブを、それが市場に出回りはじめたころにいち早く買ってもっているのだが、いままで一度として片面2層DVD には挑戦したことがなかった。当時は、メディア1枚あたり千円を超える値段がしたし、安いパック売りも出て…

ジャン=クロード・ブリアリ、亡くなる

ヌーヴェル・ヴァーグを代表する映画俳優のひとりジャン=クロード・ブリアリが、5月30日、癌のためなくなった。ジャン=クロード・ブリアリの映画

若冲展に行ってきた

土曜日に相国寺に若冲を見に行ってきたんだけど、めちゃくちゃ混んでました。見に行く予定の人は、できたら土日は避けてください。平日に見に行くのが吉かと。 * わたしが行ったときは、はいるまで長い行列ができていた。「最後尾から入館されるまで、約80…

『エロ将軍と二十一人の愛妾』『空軍/エア・フォース』『犬神の悪霊』

DVD

鈴木則文『エロ将軍と二十一人の愛妾』 鈴木則文による奇っ怪なポルノ時代劇。わたしがこの作品を初めて見たのはフランスでTV放映されたときのフランス語吹き替え版でだった。その後、日本に帰ってから、新世界かどこかでちゃんとしたフィルムで見直したと記…

わたしが知ってる2,3の名前

最近、シャルナス・バルタスで検索してわたしのページを見に来た人が何人かいたので、なにゆえ? と思っていたら、「EUフィルムデーズ 」というのを東京でやっていて、それでバルタスの『自由』という作品が上映されたらしい。フランス語字幕のみだが、台詞…