明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

2007-01-01から1年間の記事一覧

To Each His Own〜ミッチェル・ライゼン覚書

今年のカンヌ映画祭は、松本人志の初監督作品が出品されるということで、いつにもまして日本での注目度が高い。また、いまやカンヌでは常連となった北野武が、今回は、世界を代表する監督35人のひとりに選ばれたことも話題になっている。この35人の監督たち…

若冲展〜釈迦三尊像と動植綵絵120年ぶりの再会

京都の相国寺承天閣美術館で、2007年5月13日(日)〜 6月3日(日)まで、開基足利義満600年忌記念として「若冲展 釈迦三尊像と動植綵絵120年ぶりの再会」が行われている。もう開催されて一週間になるのだが、わたしは昨日知ったばかりだ。最近は情報誌もあま…

ロブ=グリエ、10年ぶりの新作

小説のほうでは、数年前に新作『反復』が日本でも翻訳出版され、相変わらずの健在ぶりを見せつけたアラン・ロブ=グリエだが、昨年、映画のほうでも新作『Gradiva(C'est Gradiva qui vous appelle)』を撮り上げていたらしい。IMDb によると、ロブ=グリエ…

TVドラマ中間報告+注目TVアニメ

TV

>>TVドラマ中間報告 先日、ハードディスク・レコーダーの予約録画から「バンビーノ!」を消したので、いま録画してみているTVドラマは、「わたしたちの教科書」「プロポーズ大作戦」「ライアーゲーム」だけになった。「わたしたちの教科書」は、よくあるシリ…

『煙か土か食い物』

長年の肩こり、膝とかかとの痛み、背筋がゆがんでいるような違和感。近くの病院で見てもらう。最近新しく建てましされたその巨大総合病院は、いろんな点で行き届いて、サービス的には申し分なく、ブログでけちをつけられそうなところがなかった。受付さえす…

今村仁司『アルチュセール』

今村仁司、死んでいたのか。今月の5日に亡くなっていたらしい。65歳。若いね。正直いって、わたしにとって特に重要な人物ではなかったけれど、80年代にフランス現代思想を日本に紹介するに当たって一定の影響を与えた人だったと思う。その意味では、学生時代…

ジム・トンプスンの『残酷な夜』と『荒涼の町』が文庫化

舞城王太郎の『煙か土か食い物』を読み始める。なんじゃこりゃ! まだ20ページも読んでいないのだが、これがとりあえずの感想だ。良くいえば破天荒、悪くいえばめちゃくちゃな文体。がさつで野蛮そうな語り手=主人公は、ミッキー・スピレインのハードボイル…

新作公開情報〜ガス・ヴァン・サント『マラノーチェ』

『マラノーチェ』 監督:ガス・ヴァン・サント 出演:ティム・ストリーター/ダグ・クーイヤート 内容:街角の小さな食料品店に働くウォルトの前に、突然現れたジョニー。彼はメキシコからの不法移民。その野生児のような荒削りの美しさにウォルトは忽ち虜に…

アーシュラ・K・ル=グウィン『所有せざる人々』

アーシュラ・K・ル=グウィン『所有せざる人々』 フェミニストSFの古典『闇の左手』と並ぶル・グィンの代表作のひとつ。今頃になってペーパーバックで読む。「ぼくの好きなル・グィンは『辺境の惑星』やこの短編集『風の十二方位』を書いた、少女SF作家…

『血を吸うカメラ』〜イーストマン・カラーかテクニカラーか。それが問題だ

フランス大統領選はやっぱりサルコジに決まってしまった。前からちょこちょこ書いているように、こいつ嫌いなんだよね。ま、大部分の日本人にはだれがフランスの大統領になろうと関係ないんだろうけど、サルコジって野郎は、パリ郊外の暴動で若者たちをクズ…

新作公開情報〜ジャ・ジャンクー『長江哀歌』

最近、ヤナーチェクばかりを聴いている。結構ヘンテコですね。ドヴォルザークやスメタナとは全然ちがう不気味さがなんともいえない。わたしは音楽を語る言葉をもっていないので、聴いたことがないひとは、とりあえず、いちばん有名な『シンフォニエッタ』で…

『怪奇大作戦』

TV

ゴールデンウィークに NHK BS で「怪奇大作戦」が連夜放映された。「ウルトラマン」で知られる円谷プロが1968年、総力をあげて作り上げたテレビドラマシリーズである。小さいころ再放送で見た記憶があったのだが、今度放映されたのを見ていてもなにも思い出…

ハドリー・チェイスを復刊せよ、と小さく叫んでみる

『スパイダーマン3』を今日が初日のつもりで焦って近所のしょぼい映画館に見に行ったら、チケット売り場で「公開は明日からです」といわれ赤っ恥をかいてしまった。ワールドプレミアを日本でやるのはいいが、少年プロボクサーに馬鹿なレポーターがくだらな…

新作DVD〜『スピオーネ クリティカル・エディション』『ジャン・ルノワール DVD-BOX1』 ほか

DVD

4月もそろそろ終わりなので、7月までに出る新作DVD のなかから気になるものをピックアップしてみた。 フリッツ・ラング『スピオーネ クリティカル・エディション』ラングがドイツ時代に撮り上げたスパイ映画の傑作。以前に出ていたものが手に入らなくなっ…

ドラマとか漫画とか

ひさしぶりにくだらない情報をまとめてみました。こういうものも見たり読んだりしてバランスを保たないと。 最近見ているドラマ。 『わたしたちの教科書』: 生徒役の志田未来が1話目でいきなり自殺してしまうのでおやと思わせる。2話目まで見たが、職員室…

黒沢清『叫』

『叫』ホラー・ノワール。役所広司演じる刑事は、不可解な連続殺人の現場に、犯人が自分であることを指し示す証拠物を見つけてとまどう。まるで自分の影を追っているような不気味さ。どんよりとのしかかってくるいわれない罪の意識。役所広司は赤いドレスを…

パスカル・ボニゼール『歪形するフレーム』

ルペンが大敗したのはよかったが、かといってサルコジの大統領姿は見たくないな・・・。しかし、そうなるんだろうか。 パスカル・ボニゼールの『歪形するフレーム ─絵画と映画の比較考察─』を読み始める。やっぱり梅本洋一の訳は読みにくい。できれば原書で…

ロバート・シオドマク DVD-BOX

DVD

ロバート・シオドマクの DVD-BOX がフランスで発売された。『殺人者』『幻の女』『Cobra Woman』の3作が収録されている(このうち『殺人者』は日本でも DVD が出ている)。特典映像も多数収録されているとのこと。『Cobra Woman』だけは見ていないのだが、…

シャンタル・アッケルマンの70年代

DVD

シャンタル・アッケルマンの近作はこれまでにも数本DVD化されているが、初期の作品はまだソフト化されていなかったように思う。だから、この4月にフランスで、アッケルマンの70年代作品がまとめてDVDとして発売されるのはうれしい知らせだ。下の DVD-BOX「Co…

ペドロ・コスタの新作

ペドロ・コスタの新作「En avant, jeunesse!」が 2007年秋からフランスで公開される模様。「En avant, jeunesse ! 」は、訳すとするなら「若者よ進め!」ぐらいの意。最初見たときは記事のタイトルかと思ったが、これが作品名らしい。『ヴァンダの部屋』で描…

新作公開情報〜『インランド・エンパイア』『街のあかり』ほか

『ブーベの恋人』で知られるルイジ・コメンチーニがなくなった。『ブーベの恋人』はゴダールがベストテンに入れたりしているので見ているものの、正直いってそんなに関心をもっていた監督ではない。しかし、「リベラシオン」に載った追悼文や、フランスで出…

『グル・ダッド傑作選 DVD-BOX』『らせん階段』ほか

DVD

レオス・カラックス『汚れた血』 エリック・ロメール『満月の夜』、『友だちの恋人』、『緑の光線』 『ピーター・グリーナウェイ初期作品2』 イングマール・ベルイマン『サラバンド』 『グル・ダッド傑作選 DVD-BOX』 グル・ダッドまで出るのかよ。「傑作選…

アニメもうかつに見られない〜小中千昭と大和屋竺

『ラーゼフォン』というテレビ・アニメをたまたま見ていたら、10話目ぐらいまで見たところで、「脚本 小中千昭」とクレジットにあるのに気づいて、驚いた。テレビのアニメの脚本は毎回変わることが多い。このアニメも小中千昭が全回担当しているわけではない…

ジャック・リヴェットが三度バルザックを映画化する

フランスではジャック・リヴェットの新作『Ne touchez pas la hache』が公開されていて、これが結構評判がいい。原作はバルザックの『ランジェ公爵夫人』。『アウト・ワン』『美しき諍い女』に続く3度目のバルザック作品の映画化である。『ランジェ公爵夫人…

新作公開情報〜『監督・ばんざい!』『プレステージ』

『TAKESHI'S』のあとはシリアスな作品が続くものと思っていたが、次回作も結構ハチャメチャな作品になっているようだ。一方、クリストファー・ノーランの新作は、クリストファー・プリーストの『奇術師』を映画化した作品。クリストファー・プリーストといえ…

"The Witness for the Prosecution"

この前ふれたアガサ・クリスティの短編集 "The Witness for the Prosecution" は意外なほど面白かった。ひょっとしたらこの人は短編のほうが面白いのかもしれない。それにしてもアガサ・クリスティなんて読むのは何年ぶりだろうか。ミステリー・マニアという…

マノエル・ド・オリヴェイラ『ベル・トゥジュール』覚書

「フランス映画祭2007」でオリヴェイラの新作『ベル・トゥジュール』を見る。この映画祭は数年前から行われているものだが、毎年上映作品には、これが本当にフランス映画のいまを代表する作品なのかどうかいまひとつ信用できないものばかりが並べられていて…

『フリッツ・ラング コレクション 月世界の女』ほか

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『アレクサンドリア四重奏』が復刊

ロレンス・ダレルの傑作『アレクサンドリア四重奏』が河出書房から全巻復刊されることになった。まずは今月、第一巻「ジュスティーヌ」が出、その後、ほぼ一ヶ月に一冊のペースで、第二巻「バルタザール」、第三巻「マウントオリーブ」、第四巻「クレア」が…

松浦寿夫・岡崎乾二郎『絵画の準備を!』

いくつもの本を平行して読んでいるので、ときどき頭が変になりそうになる。いま読んでるのは、アガサ・クリスティの "The Witness for the Prosecution" (ビリー・ワイルダーの『情婦』の元になった同名短編)が入っている短編集のペーパーバックと、これも…